私のグラフはマッキンゼ—流ロ—ソク機能でウォ—夕—フォ—ルチャ—卜

日経PC2120経年9月号 !38

私のグラフはマッキンゼ—流ロ—ソク機能でウォ—夕—フォ—ルチャ—卜

ウォー夕ーフォールチチャー卜って、何じやそりやあ? 思わず奇声が上がるご質問を読者の方からいた
だいた。ウォーターフォールチャー卜(waterfall chart) なるグラフをエクセルで作りたいのだという。
う〜ん、エクセルで選べるグラフの種類にそんなものはない。
調べてみたら、米国のコンサルティング会社、 マッキンゼー ・アンド・カンパニーが編み出した図1のようなグラフらしい【旦。「滝グラフ」ともいい、プレゼンテーションで威力を発揮するという。
構造は単純で、収益とコストそれぞれについて作った植み上げ縦棒グラフを横方向に展開・合成したような感じだ。収益があると緑棒を上 へ 積み上げるように描き、コストが発生すると赤棒を下へ向かって描く。緑棒では上辺、赤棒
では下辺の位置がその時点における収支の累計を表している。その位置を基点として収益を上向きの緑棒、コストを下向きの赤棒で描くだけ。意外とシンプルだ。
この滝グラフを使うと、さまざまな収益とコストによる収支の変化を明確に把握できる。例えば図1では、サイト売却益がなければトータルで赤字だったことが明々白々。なるほど、確かにこの種の分析やプレゼンでは積み上げ棒グラフや円グラフよりもいいかも!

構造をよくよく見てみると株価のロ—ソクが使えそうさて、問題はエクセルでどう作るかだ。ネツトでは積み上げ棒グ
ラフを加工して作る方法が散見されるが、それだと収益とコストの棒の塗り分けが面倒になるK T悩んだ結果、株価チャートのロ— ソクを応用してみることにした。
図1 の滝グラフをよく見ると、隣の) 累計収支からの差分を表していることがわかる。例えば緑棒は上辺が現在までの累計で、下辺が1 つ前までの累計。一方の赤棒は上辺が1つ前までの累計で、下辺が現在までの累計だ。この構造に着目すると、「現在までの累計」と「1 つ前までの累計」を同時に折れ線グラフとして描き( 図2 〜図4) 、両者の差分を棒で表すという手が思いつく ( 図5 、図60実はエクセルには、2 つの折れ線グラフの差分を棒で表す「ローソク」機能がある。その名の通り本来は株価チャート用で、始値と終値を結んだローソク( 陽線・陰線) を描くもの。だが株価以外に使ってはダメという決まりはない。

試してみたらバッチリ。何の苦労もなく滝グラフの原型が作れた(図6) 。特別な細工なしで収益とコストを色分けできるのがミソだ。
ローソク機能は元々、株価の値上がりを表す陽線と値下がりを表す陰線を自動で塗り分けるので、それをそのまま流用できるわけだ。
この後、元の折れ線グラフを透明にして見えなくし、陰線と陽線の書式設定で色を変更すれば滝グラフが完成する( 図7 、図8) 。なお、今回の作例ではこのほかにグラフの軸目盛りやフォントなどの設定をいろいろと変えてあるが、本筋から外れるので詳細は割愛する宣。本誌ウェブに作例ファイルを用意したのでそちらで確認してほしい雷〕。(服部雅幸)

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