目次
■10倍上達したあなたへのカメラ基礎知識
URADO TOP>MEMO & COLAM >
2010/08/19H著
1 はじめに
- 0.はじめに
残念ながらカメラは理屈を理解していないと上達できない面が多々あります。
恐らくこの辺から、読むのがつらく感じるでしょう。
しかしこれこそが、一眼レフや高性能コンパクトカメラを使いこなすための第1歩。
ここでは、前回すっ飛ばした、「絞り」と「シャッタースピード」について、まとめてみました。・・・かなり長くてしんどいですが・・・がんばりましょう!
2 絞り=「ピント」と「ボケ」を決めます。
- 2 絞り=「ピント」と「ボケ」を決めます。
絞りとは、ピントの合っている(ように見える)前後の深さを決められます。
逆に言えば、「どれだけ前後をぼかすか」ということです。
<ボケ>
プロの人物や花の写真を見ると、主役だけがくっきり写り、背景がぼけています。
これは主題をはっきりさせるためのテクニック。主題がまず目に飛び込んできます。
専門用語で「被写界深度が浅い」といい、絞りを「開く」といいます。
<全体にピント>
プロの風景写真は、全体にピントが合っており、細部に至るまで描写されております。
専門用語で「被写界深度が深い」といい、絞りを「絞る」といいます。
3 シャッタースピード=「時間」や「動き」を表現します。
- 2.シャッタースピード=「時間」や「動き」を表現します。
<高速シャッター>
条件が良ければ、ヘリコプターのプロペラさえ制止して撮影することが出来ます。
例えば、滝を登る魚や水滴まで止めて写すことで「緊張感」を与えることが出来ます。
<低速シャッター>
星空の軌跡を残すためには数分~数時間の超低速シャッターを用います。
また、滝やせせらぎが、絹のように描写されている写真もよく見るでしょう。
大太鼓の奏者を低速シャッターで撮れば、その躍動感が存分に伝わります。
つまり、低速シャッターでは「時間の流れ」や「躍動感」を表現できます。
2次元の写真の中に、4次元を表現してしまうとも言えるでしょう。
※低速シャッターの応用編として、「流し撮り」というテクニックがあります。
バイクレースなどで、被写体にはばっちりピントが合っているのに、
背景が流れているのがそれです。
4 「明るさ」と「光と影」
- 3.「明るさ」と「光と影」
<明るさのセオリー>
子供やアイドルを撮るとき、暗く撮ると暗い印象を与えてしまいます。
逆にSLを明るく撮ると、その重量感が全く伝わりません。
このように、写真の明るさだけでも相手に与える印象を変えてしまいます。
<カメラの落とし穴、色のマジック>
最近のカメラは頭が良く、「標準的な」明るさに写るよう調整してくれます。
色には「輝度」というものがあり、同じ環境下で「黄色(明るい色)」と「赤(暗い色)」を撮影した場合、カメラは勝手に「黄色(明るい画面)は暗めに」、「赤(暗い画面)は明るめに」撮ることで、「(全体で)標準的な明るさ」にしようとしてしまいます。
なので、意図に反した明るさに写ることがよくあります。
例:ひまわり=暗めに写る。煉瓦造りの建物=明るめに写る。
これを補正する方法は後ほど書きます。
<画面に明るい部分と暗い部分があるとき>
前回説明したとおり、人間の目ほどカメラの性能は良くありません。
高価な機体は明暗を補正する頭脳を持っていますが、それは補助的な機能であり、
基本的には撮影者が苦労して改善します。(よくロケハンでスタッフがいっぱいいるのは、ライトや光の反射を利用して、影をなくすためなのです。)
当然、我々シロウトがそこまでするのは無理のムリムリ!
そこでお手軽に出来ることが、フラッシュをうまく利用することなのです。
<光の向きと影>
カメラにとって光の向きは重要です。難しいことはここでは割愛。
大きく、以下の3つがあります。
「順光」=被写体にとって正面からの光。まぶしくてつらい表情になります。
また、平面的な写真になりやすく、基本的には避けるべき。
「斜光」=被写体にとって斜めから当たる光。顔の凹凸による影が出来やすい。
わざと暗めに撮影して物憂げな表現をするときに多用される。
「逆光」=被写体の背後からの光。
よく「逆光の撮影はダメ」といわれるが真逆。むしろ狙い目!
フラッシュを利用して、正面から光を足してやることで、髪の毛に光が透けるような、本格的な写真が撮れる。被写体もまぶしくないので楽。
・・・シロウトがここまで考えて撮影することは困難です。
やはりフラッシュ術を極めることが、良い写真作りへの近道だと思います。
<強い(=キツい)光と、やわらかい光>
基本的に強い光は強い影を作るため、避けるというのが王道です。
特に花などを撮影する場合は、曇りの日が良いとされております。(影が出ないから。)
フラッシュを活用する場合も、いかに影を和らげるかが、更なる高みに行けるかどうかのポイントとなります。
5 「白飛び」「黒つぶれ」「色飽和」と色の「階調」
- 4.「白飛び」「黒つぶれ」「色飽和」と色の「階調」
デジカメは、当たり前ですがデジタルにデータを読み取ります。
1つのセンサーが認識できるデータには上限があり、データ=0が「黒つぶれ」、
データ=オーバーが「白飛び」といい、色の3原色(RGB=赤緑青)のどれかだけでデータが溢れているものを「色飽和」をいいます。
パソコンで明るさ補正が出来ますが、それは多少なりとも「色」のデータがある場合。
「白飛び」「黒つぶれ」「色飽和」には他色のデータがないので、補正不可能なのです。
写真とは色の「階調」を楽しむものです。(それは白黒写真でも同じ)
例えば夕焼けの写真、グラデーションが10階調のものと、100階調のもの、
どちらがきれいに感じるかと言えば当然100階調の方ですよね?
それぞれの色のギリギリまで階調がある写真は気持ちが良いものです。
※パソコンのモニターやプリンターの性能によっても、この再現が制限されます。
こだわり始めるとお金がかかる原因の1つです。
※アイドル写真などでは、明るい印象を与え、人物にだけ意識を集中させるよう、
わざと背景を白飛びさせているものも多く見られます。
6 絞りとシャッタースピードの関係
- 6. 絞りとシャッタースピードの関係
<カメラの基本構造>
カメラは光を集めてデータ化しております。
当然、光は時間をかけるほどいっぱい集まりますし、
時間が同じなら入り口が広い分だけいっぱい集まります。
<絞りとは>
レンズには「羽」とよばれる部品が何枚か付いており、それは設定によって大きく開けたり、針の穴ほど小さく絞ったりする機能があります。
子供の頃、遠くを見るときに親指と人差し指でごく小さな窓を作り、そこからのぞき込むとよく見える気がしませんでしたか?
あれは気のせいではなく、小さく絞り込むことでピントが合いやすくなる現象なのです。
前述したとおり、写真の結果としては下記のようになります。
絞りを開放するほど:主題以外はぼけた写真になる。(被写界深度が浅い)
絞りを絞るほど :全体的にピントが合う。(被写界深度が深い)
<絞りとシャッタースピードの関係>
作品作りのために絞りを調整しなければなりませんが、絞りによって何が変わるのか?
上述の通り、絞りの開閉により光が通ることが出来る「入り口」の大きさが変わります。
つまり、同じ量の光を集める場合、絞りが開いていれば短時間で良いし、絞りが閉じて(絞って)いれば長時間のシャッタースピードを必要とします。
<シャッタースピードと手ぶれ>
「シャッタースピードが遅くなるほど」「ズームになるほど」手ぶれが生じ易くなります。
一般的には「レンズの数値」=「シャッタースピード」というのが目安。
例えば、レンズが100ミリの時には、100分の1秒が手ブレしづらい目安ということです。
これが守られない場合には、三脚などを利用するか、ISOの感度を上げる(後述)
方法をとらなければなりません
7 カメラは「蛇口」。写真は「水」と「コップ」と考えよう!
- 6.カメラは「蛇口」。写真は「水」と「コップ」と考えよう!
ここでは「光=水」「写真(またはフィルム)=コップ」に置き換えて考えて下さい。
「明るさの適正な写真」=「コップ一杯に水が入った状態」とします。
つまり明るすぎる写真は水があふれており、
暗すぎる写真は水が足りない状態と考えましょう。
コップ(写真)に水(光)を入れるための道具が蛇口(カメラの絞り)であるとするならば、同じ水の量を入れるためにはこうなりますよね。
①蛇口を一杯に開け、短時間で閉じる。
②蛇口を少しだけ開け、長時間水を出し続ける。
この操作により欲しいだけの水(光)の量を調整すればよいのです。
これこそが、絞りとシャッタースピードの関係に他なりません。
8 ISOってなんじゃい?
- 7.ISOってなんじゃい?
フィルムの「感度」のこと。デジタルではフィルムがありませんが、同義です。
一般的には高感度(暗いところ向き)はノイズが多いという特性があることから、可能な限り低感度に設定しますが、低感度側は「仕上がりが硬い印象を与える(シャープな)写真になる」という一面もあります。
デジタル技術は日進月歩であり、新しいカメラほど、高価なカメラほど、高感度時のノイズが少なくなる傾向にあります。
先の話になぞらえると、「感度」とは「コップの大きさ」と考えて下さい。
被写体が明るい場合、すぐにコップが一杯になってしまいますし、暗い環境ではいつまでたってもコップが一杯になりません。
そこで、フィルムの感度が出てきます。
ISOは数字が小さいほどコップが大きく、数字が大きいほどコップは小さいです。
※多くのカメラはISO100~1600くらいは選べます。
機種によっては、ISOもオートで選んでくれる機能が付いています。
コップが小さいほど、水が一杯になる時間は短くて済みますよね?
高感度フィルムを使えば、手ぶれが生じないところまでシャッタースピードを
早くすることが出来ます。
9 写真の明るさを調整したい
- 8.写真の明るさを調整したい
ほぼ全てのカメラには「露出補正」という機能があります。「±」こんなマーク。
まずオートで撮影してみて、明るさを変えたいと感じたときに、活用しましょう。
ただし! 「明るく写す」ということは、「シャッタースピードが遅くなる」ということなので、手ぶれを起こしやすくなります。必要に応じてISOにより調整しましょう。
10 ホワイトバランス
- 9.ホワイトバランス
人間の目もカメラの目も、周囲の光の色によって、正しい色で見ることは出来ません。
フィルムに比べて、デジタルは更に顕著。思惑とは異なる発色をします。
そこでホワイトバランス(WB)という機能があります。通常は「オート」でOK。
これも、最新機種になるほど、高価な機体になるほど性能が良いです。
大変難しいので、ここでは割愛。大概のカメラの指南書にて詳しく書かれております。
※あえて設定を変えることで面白い発色の作品ができあがります。色々お試しあれ。
11 マニュアルで練習する
- 10.マニュアルで練習する
<AUTO(バカチョン)の便利さ>
「失敗がない」というのが最も大きな恩恵です。
「作品作り」という面では、面白みや自分らしさを表現することは難しいですが、
日々のスナップ撮影で、いちいち「ちょっとまって!」では、場がシラケてしまいます。このような場面ではオートでサクサク撮るべきでしょう。
<はじめの練習~マニュアル~>
お家の中で、ぬいぐるみなどを3~4つ奥行き方向に重ならないよう並べましょう。
そしてカメラを「マニュアル」にセットします。
何枚も撮影しながら試行錯誤してみて下さい。
一晩、真剣に取り組めば、以下のことが分かります。
「絞りを開ける」→「被写界深度が浅くなる」「シャッタースピードを短くできる」
→「手ぶれしにくい」→「ISOを低感度に出来る」
「絞りを絞る」 →「被写界深度が深くなる」「シャッタースピードが遅くなる」
→「手ぶれしやすくなる」→「ISOを高感度にする」
そこまで分かれば、今度は照明の明るさを変えてみましょう。
シャッタースピードの変化とISOの便利さが分かることでしょう。
ここまで理解できれば、カメラの説明書にある「絞り優先」とか「シャッタースピード優先」のコマンドのありがたみを実感できると思います。
コメント